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2025年5月の役員改選で役員に就任する予定ですが、事業承継税制の特例措置は適用できますか?
相続対策を兼ねて、息子の社長就任にあわせて、私が所有している会社(非上場)の株式を贈与しようと思います。
「事業承継税制」を利用すればこの贈与に係る贈与税が免除されるようですが、まだ息子は会社の役員とはなっておらず、来期の役員改選(2025年5月)でまずは専務に就任させる予定です。その後、事前の計画の提出を行い、特例措置の適用を受けたいと考えていますが、問題ないでしょうか?
「事業承継税制」の受贈者要件として、贈与日まで3年以上会社の役員である必要があります。特例措置に係る贈与の適用期限は2027年12月31日となっており、2025年5月の役員改選での役員就任では、この要件を満たすことはできません。遅くとも2024年中の役員就任が必要です。
事業承継税制とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(いわゆる「円滑化法」)」に基づく認定を受け、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予・免除する制度をいいます。
事業承継税制は、大きく、非上場会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」に分かれます。
ご相談のケースは、非上場会社の株式ですから、法人版事業承継税制を指します。
法人版事業承継税制には以下2つの措置があり、主な相違点は下表のとおりです。
特例措置 | 一般措置 | |
---|---|---|
事前の計画策定等 | 特例承継計画の提出 [2018年(平成30年)4月1日から2026年(令和8年)3月31日まで] | 不要 |
適用期限 | 次の期間の贈与・相続等 [2018年(平成30年)1月1日から2027年(令和9年)12月31日まで] | なし |
対象株数 | 全株式 | 総株式数の最大3分の2まで |
納税猶予割合 | 100% | 贈与:100% 相続:80% |
承継パターン | 複数の株主から最大3人の後継者 | 複数の株主から1人の後継者 |
雇用確保要件 | 弾力化 | 承継後5年間 平均8割の雇用維持が必要 |
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 | あり | なし |
相続時精算課税の適用 | 60歳以上の者から18歳以上の者への贈与 | 60歳以上の者から18歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与 |
法人版事業承継税制について、贈与税の納税猶予及び免除を適用するには、様々な要件を満たす必要があり、後継者である受贈者の要件もそのうちの1つです。
たとえば後継者である受贈者の主な要件として、以下が挙げられます。
- 贈与の時において、会社の代表権を有していること
- 贈与の日において、18歳以上であること
- 贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること
- 贈与の時において、後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有することとなること
- 贈与の時において、後継者の有する議決権数が、次のイ又はロに該当すること(特例措置の場合)
イ 後継者が1人の場合
後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなることロ 後継者が2人又は3人の場合
総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
上記2.のとおり、受贈者の要件に「贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること」があります。
ご相談のケースでは、ご子息はまだ役員とはなっておらず、来期の役員改選(2025年5月)で専務に就任予定とのこと。上記1.のとおり、事業承継税制の特例措置には適用期限が設けられており、2025年の役員改選時での役員就任は、「贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること」の要件を満たすことはできず、特例措置の適用を受けることはできません。
そのため、特例措置の適用を受けたい場合には、遅くとも年内(2024年中)に役員に就任する必要があります。
なお、一般措置であれば現状適用期限が設けられていないため、2025年の役員改選時での役員就任であっても、適用できる可能性は考えられます。一般措置の適用も検討されてはいかがでしょうか。
事業承継税制に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「事業承継税制特集」
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