2020年4月1日より施行された配偶者居住権ですが、どの程度利用されているのでしょうか。ここでは、今年5月に発表された法務省の登記統計(※)から、配偶者居住権の設定登記件数をみていきます。
配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に、相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。配偶者は、遺産分割協議や遺言によって、配偶者居住権を取得することができます。
上記統計資料から、配偶者居住権の設定登記件数の推移をまとめると、下グラフのとおりです。
制度開始の2020年こそ129件でしたが、2021年以降は900件程度で推移していることがわかります。
次に配偶者居住権の設定登記件数を法務局の管内別にまとめると、下表のとおりです。
2023年の結果をみると、東京法務局管内が418件で最も多く、大阪法務局管内が167件、名古屋法務局管内が146件で続いています。この3法務局管内で全体の80%程度を占めています。
制度開始から4年が経過しました。登記件数は増加しているものの、2022年と2023年の伸びは1〜2%台と決して高くはありません。今後はどのように推移していくでしょうか。
(※)法務省「2023年登記統計」
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